牛乳について
たんぱく質摂取のために、牛乳を意識的に飲んでいる。
あらためて、牛乳は美味しい。
あまり美味しいので、昨日は朝1.5ℓ一気に飲んだ。すると激しくお腹が崩壊した。立ち直るのに半日要した。反省した。
牛乳は、一度に1ℓまでにしよう。
僕が生まれて初めて飲んだ牛乳は、酪農家から一升瓶に分けてもらった牛乳だった。普通に美味しいと思った。その牛乳の味があたりまえだと思っていた。それがとんでもない贅沢だと、あとで思い知ることになるのだけど。
小学校にあがって給食の牛乳を飲んだ。十勝の山奥のその学校では、牛乳は瓶入りだった。酪農家からわけてもらった牛乳ほどではないが、まだ美味しい部類に入っていたと思う。
その後転校して漁師町に住んだ。
そこの学校の給食の牛乳が、本当に不味かった。
瓶からプラスチックのテトラに変わった。お店では見たことのないパックだった。おそらく給食専用の牛乳だったと思う。
味は水っぽく、苦かった。我慢して全部飲むと、なんとなく具合が悪くなった。
不味いと感じているのは、農村から転校してきた僕だけだろうか? いや、先生に全部飲みなさいと言われた女の子が、ストローを咥えて涙を流していた。僕だけじゃない。
こんな経験をしたので、瓶は美味しくパックは不味いという偏見をしばらく持っていた。
たしか一年ぐらいで給食の牛乳が「よつば3.4牛乳(紙パック・テトラ)」に変わって、味で苦しまなくてよくなったのは幸いだった。さすがに教育委員会もあの牛乳は問題視したのだろう。
しかし不味かったなぁ、あのプラ・テトラ牛乳。
こうして、給食の牛乳も市販のものと変わらなくなったし、味にしたって「牛乳なんてこんなもの」というところに着地して、特に牛乳を意識せずにいつのまにか給食を卒業した。
牛乳を飲むのも飲まないのも自由になってもう何十年も生きてきたけれど、今になって気になるのはあの酪農家の牛乳だ。
一度母親がその牛乳でカスタード・クリームを作った。それがもう、なんとも言えない美味しさだった。お菓子屋さんのカスタード・クリームが物足りなく感じたほどだった。
ついでに言えば、スーパーで売っている「イズヤのクリームパン」が食べられなくなった。
昔の菓子パンのクリームのことは置いておいて(間違いなくバッタものだった)、お菓子屋さんのクリームより、母親のクリームのほうがが美味しかったのは、100%牛乳のせいだと思う。
一升瓶をぶら下げて、牧舎に直接お邪魔して冷却タンクから詰めてもらう。たしか十円とか二十円しか要求されなかった憶えがある。昔のこととはいえ(1973年だったと思う)、超格安である。
新鮮・搾りたて、ついでに言えば「無殺菌」である。わずか2秒間とはいえ、130度に加熱した市販の牛乳とは比べものにならないのだ。濃くて、甘くて、さっぱりしてて、とにかく美味しかった記憶がある。
今、あの牛乳を飲んだらどう感じるだろう。やはりもの凄く美味しく感じるだろうか。
それとも、あまり差を感じないだろうか。
市販の牛乳はこの数十年、飛躍的に美味しくなったと思う。生乳の質、殺菌技術の向上などで僕が子供の頃に比べると雲泥の差、とまでは言わないけれど、確実に美味しくなっていると思う。
でもしかし、やっぱり「新鮮・搾りたて・無殺菌」にはかなわないと思う。
どこかでそんな牛乳が飲めないかなぁ。もちろん、「自己責任」で。
ここは北海道、今年の夏は「牧場を巡る冒険」に出るのもいいかもしれない。